
十日町名物へぎそばの王道「小嶋屋総本店」!本場の味と伝統を堪能
2025/11/22
新潟県十日町市に来たら、絶対に外せない名物「へぎそば」。「十日町 へぎそば」と検索すると数多くのお店が出てくるが、本当に行くべきは"王道"の店ではないだろうか?
せっかく本場を訪れたなら、歴史と伝統があり「ここに来れば間違いない」と誰もが認める一軒を選びたいはず。その筆頭として名前が挙がるのが、へぎそばの老舗中の老舗「小嶋屋総本店」さんだ。
つなぎに海藻のふのりを使った、つるりとした喉越しと強い弾力。剥ぎ板の「へぎ」にひと口ずつ美しく盛りつけられた姿は、まさに本場のへぎそばの伝統そのもの。観光ついでに気軽に立ち寄れる立地でありながら、地元の常連さんにも愛される信頼の味。初めてへぎそばを食べる人も、何度も訪れている人にもおすすめできる名店だ。
今回はそんな「小嶋屋総本店」さんを訪れて看板メニューを味わってきたので、十日町でへぎそばを食べるならどこ?と迷っている方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
ミシュランも認めたへぎそばの聖地へ

これがへぎそばの総本山「小嶋屋総本店」さんだ。
「創業100年を超える老舗」と聞いて古めかしい木造建築を想像していると、良い意味で裏切られる。非常に立派な外観で、大きな駐車場も完備されており、多くの観光客や地元客を受け入れることができそうだ。

建物こそ新しいが、開業は大正11年(1922年)。 入口の佇まいには創業100年を超える老舗ならではの品格が漂う。手入れの行き届いたアプローチを抜けて暖簾をくぐる。店内は、開放的でモダンな和の空間が広がっていた。

「ミシュランガイド新潟2020特別版」のプレートに目が留まる。 ここ小嶋屋総本店は、ミシュランプレート(ミシュランの基準を満たした料理)として掲載された実績を持つ実力店。
肝心の「味」も第三者機関から保証されている。 快適な空間で、世界が認めた伝統の蕎麦を味わえるとなれば、期待値は高まるばかりだ。それでは席につき、メニューを見ていこう。
「小嶋屋総本店」のメニュー

席に案内され、さっそくメニューを開いてみる。まずは看板メニューの「へぎそば」。「へぎ(片木)」と呼ばれる四角い器に盛り付けられるのが最大の特徴だが、人数に合わせて1人前から4人前まで細かくサイズが用意されている。
大勢でシェアして食べるのが基本だが、1人前サイズもあるため、一人旅でも気兼ねなく「へぎ」での盛り付けを楽しめるのは嬉しい配慮だ。

続いて定番の天ぷらとのセットメニュー。 王道の「天へぎ」をはじめ、海老好きには「海老天へぎ」、ヘルシー志向な「野菜天へぎ」などが並ぶ。 冷たく締まった蕎麦と、揚げたてのサクサク天ぷら。この組み合わせはやはり最強の選択肢だろう。

ガッツリ食べたい派には、ご飯ものとのセット「御膳」シリーズがおすすめだ。「かつ重膳」や「天重膳」といった定番に加え、注目すべきは「ロースたれかつ重膳」。新潟名物である「タレかつ」とへぎそばを同時に楽しめる、観光客にはたまらないセットも用意されている。

そして見逃せないのが、季節限定のセットメニューだ。 旬の食材を使った「味覚天へぎ」や、高級魚のどぐろを使った「のどぐろ炊き込みご飯膳」、さらには「佐渡銀鮭たれかつ丼膳」など、季節の味覚を楽しむことができる。これだけ選択肢があると本気で悩んでしまうが、今回は王道の「天へぎ」を注文することにした。
- ▼「小嶋屋総本店」の主なメニュー
- ・へぎそば(一人前):968円(税込)
- ・へぎそば(大盛り):1,353円(税込)
- ・天へぎ:1,738円(税込)
- ・野菜天へぎ:1,628円(税込)
- ・ロースたれかつ重膳:1,738円(税込)
- ・天重膳:1,738円(税込)
小嶋屋総本店「天へぎ」

しばらくして運ばれてきたのがこちら。
手前には揚げたての天ぷら盛り合わせ、そして奥には堂々たる「へぎそば」。

今回はへぎそばを「大盛り(1.5人前)」に変更してオーダー。 「へぎ」と呼ばれる四角い器の中に、波を描くように美しく整列した蕎麦。この「手繰り(てぐり)」と呼ばれる独特の盛り付けこそがへぎそばだ。

まずは蕎麦だけでいただく。 箸で持ち上げると、ずっしりとした重量感がある。つなぎに海藻の「ふのり」を使っているため、表面が艶やか。

そばつゆにサッとくぐらせて、勢いよくすする。ツルツルとした滑らかな舌触り、そして強い弾力とコシ。これぞ小嶋屋総本店さんの王道へぎそばだ。

ひと口分ずつ丸められているため、箸で取りやすい。 盛り付けの美しさを崩すのがもったいないほどだが、箸が止まらない。

かつお節の風味が効いた少し濃いめのつゆが、ふのり蕎麦の風味をしっかりと受け止めてくれる。

薬味皿に添えられているのは、ワサビではなく「辛子」。 実は、新潟のへぎそば(特に十日町・魚沼エリア)では、薬味に和辛子を使うのが一般的。そばの薬味に辛子を使うのはめずらしい。

蕎麦にちょこんと辛子をのせていただいてみる。 ツンと抜ける辛子の刺激が、ふのりの磯の香りと驚くほど合う。これはこれでクセになる。

続いては天ぷらへ。 海老、野菜、かき揚げと、彩り豊かなラインナップだ。衣は薄く、サクッと軽そうな見た目をしている。

ここで注目したいのが卓上の調味料。 左から胡麻、ゆず七味、梅塩、抹茶塩、藻塩と、5種類もの調味料が用意されている。 天ぷらは塩が推されており、素材への自信が伺える。

まずはオクラから。 おすすめ通り、藻塩を少しつけていただく。サクサクの衣と、オクラの粘り気のある食感の対比が楽しい。塩が野菜の甘みをシンプルに引き出してくれる。

天ぷらの主役、海老。 ここでは「天然海老」を使用しているとのこと。プリッとした弾力があり、噛むほどに海老の甘みが広がる。これも塩で食べるのが正解だ。

続いて茄子。 衣の中で揚げてトロトロに蒸された茄子の旨味がたまらない。

こちらは舞茸。 香りの強い舞茸には、風味豊かな「抹茶塩」を合わせてみた。キノコの香りと抹茶の香りが喧嘩することなく調和し、上品な味わいに変化する。

最後はかき揚げ。 これだけは天つゆをたっぷりかけていただく。つゆを吸った衣と、玉ねぎの甘みが混然一体となり、ご飯が欲しくなるような満足感がある。

最後は蕎麦湯で締めくくる。 残ったつゆに熱々の蕎麦湯を注ぎ、ほっと一息。体に染み渡る。最高のへぎそばと、こだわり抜かれた天ぷら。 量も味も大満足だった。
小嶋屋総本店「ロースたれかつ重膳」

連れが注文したメニュー「ロースたれかつ重膳」も紹介しておこう。手前には丼からはみ出さんばかりの「たれかつ重」、そして奥にはしっかりと「へぎそば」が鎮座している。 「へぎそば」と「たれかつ」。新潟に来たら絶対に食べたい二大グルメが、このお膳一つで完結してしまう。

薄めに叩いた揚げたてのトンカツを、甘辛い醤油ベースの秘伝ダレにくぐらせて、そのままご飯の上へ。 タレをたっぷりと纏っているにも関わらず、衣のサクサク感は健在。甘じょっぱいタレと豚肉の脂の甘みがご飯に染み込み、箸が止まらなくなる味だという。

へぎそばは、 単品よりは少なめの量だが、しっかりと「へぎ」に美しく盛り付けられている。 こってりとしたタレかつの合間に、冷たく締まった喉越しの良いへぎそばを啜る。この「こってり」と「さっぱり」の無限ループこそ、この御膳の最大の魅力だろう。
どちらも主役級の料理だが、互いに良さを引き立て合っている。ぜひ挑戦してほしい組み合わせだ。
小嶋屋総本店「笹だんご」

満腹でも甘いものは別腹ということで、最後は新潟名物で締めくくりたい。迷わず追加注文したのが、新潟を代表する銘菓「笹だんご」。
温かいお茶とセットで運ばれてきた。へぎそば、たれかつ、そして笹だんご。ここ「小嶋屋総本店」さんに来れば、新潟の食の魅力がフルコースで完結してしまう。

笹の葉で丁寧に包まれ、イグサで結ばれたこの独特のフォルム。 手に取ると、ほんのりと温かい。 新潟県民にとっては昔から愛されてきたソウルフードであり、観光客にとっては旅情をかき立てられる一品だ。

紐を解き、笹の葉を剥がしていくと、ふわっと爽やかな笹の香りと、よもぎの香りが立ち上る。 中から現れたのは、鮮やかな濃い緑色のお団子だ。
一口食べれば、よもぎの風味豊かなモチモチの生地と、程よい甘さのあんこが絶妙に絡み合う。 素朴ながらも力強い味わいが、優しく満たしてくれる。温かいお茶をすすりながら、ほっと一息つく至福の時間となった。
「小嶋屋総本店」の店舗情報

今回、へぎそばの発祥の地・十日町で「小嶋屋総本店」さんを訪れた。
創業100年を超える歴史と、ミシュランにも認められたその実力は本物だった。 ふのりを使った独特の弾力と滑らかな喉越しの「へぎそば」はもちろん、素材の味を活かした天ぷら、そして新潟名物のタレかつに笹だんご。 新潟の食の魅力を一度に堪能できるのは、観光客にとって最高の贅沢と言えるだろう。
十日町には数多くのへぎそば店が存在するが、「まずはどこで食べるべきか?」と迷っているなら、十日町へぎそばの王道として迷わずこの店を推したいと思う。新潟の旅を彩る素晴らしい体験になるはずだ。

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