駱駝山登山!一切経山からシモフリ新道で辿る絶景大パノラマコース
2024/11/22
一切経山からさらに足を延ばし、シモフリ新道ルートを通って「駱駝山(らくだやま)」へ。駱駝山山頂からは、吾妻小富士や浄土平を見渡せる絶景大パノラマを展望することができる。
この記事では、一切経山から駱駝山へ向かうルートの詳細や、道中の見どころ、そして山頂で味わえる絶景を、たくさんの写真とともにわかりやすく紹介したいと思う。一切経山の山頂から駱駝山ルートに挑戦したいと考えている方にとって参考になれば幸いだ。
駱駝山へのルートは、一切経山の山頂から東側へと一度下り、そこから再び駱駝山山頂を目指して登るコースとなる。道中では、吾妻小富士や福島盆地を眼前に見渡しながら進める開放感たっぷりの登山道がコースの魅力だ。
一切経山山頂からシモフリ新道
一切経山山頂から駱駝山へ向かうには、シモフリ新道という登山道を利用する。
このルートは、浄土平ビジターセンターで配布されている地図には記載がなく、非公式なルートなのかも知れない。そのため、起点がやや分かりにくいので、地元の登山者やネットの情報を事前に調べておくと安心だろう。
一切経山の山頂で休憩していると、登ってきた道とは違う方向に下っていく登山者がちらほら見受けられる。これは下調べで目にしていた駱駝山への登山道か、それとも吾妻小富士方面への下山道か?迷いつつも、意を決してその道を進んでみることにした。
目の前に見える吾妻小富士の姿から、吾妻小富士方面への近道に思えるが、登山道の様子から駱駝山への可能性も捨てきれない。
シモフリ新道は、浄土平ビジターセンターのマップには記載がないものの、道中には目印が点在している。小さな石積みや木に結ばれたテープなど、注意深く観察して、これらの目印を頼りに進むことにした。
この登山道の最大の魅力は、何といっても見晴らしの良さだ。眼下に広がる福島盆地を眺めながら、天候にも感謝。このレベルの壮大な景色を楽しみながら歩ける登山道はなかなかない。
途中までは吾妻小富士方面に向かっているかのように感じられるが、やがて進行方向が変わる。駱駝山への登山道である可能性がだんだん高まってくる。
駱駝山の山頂が眼下に姿を現した瞬間、目的地がはっきりと視界に入った。これは吾妻小富士方面への下山道ではなく、駱駝山への登山道だ。
このルートは登りの傾斜が急な箇所も多く、息を切らせながら登ってくる登山者の姿が印象的だ。
吾妻小富士が見える絶好のビューポイントに到着。ここからは、行楽シーズンで磐梯吾妻スカイラインを行き交う車の列も確認できる。この眺望は、日常の喧騒を忘れさせる壮大さがあり、つい足を止めてしまうスポットだ。
シモフリ新道で一切経山から駱駝山へ
シモフリ新道を慎重に進んでいく。
浄土平に車を停めていることを考えると、登山道が福島盆地側へ向かう場面では、どんどん駐車場から遠ざかっていくように感じ、不安が募る瞬間もあったが、駱駝山への登山道にも興味があった。
反対に、登山道が吾妻小富士や浄土平方面に向かうときは、進むべき方向が合っていると感じ、安心感が生まれる。
この登山道はメジャーではないものの、たまに登山者とすれ違うことがある。同じルートを選んだ登山者と軽く挨拶を交わすと、心強さを感じる。
道中には登山道を示す目印が点在していることが、未知のルートへの不安を和らげてくれる。
しばらく進むと、樹木帯の中へと入り込む。
このあたりまで進むと、吾妻小富士方面への下山道である可能性はほとんどなくなり、駱駝山へのルートであることが分かり始めてくる。
ついに登山道が尾根の北側を向いてしまった。吾妻小富士とは逆の方向となり、駱駝山へのルートでもないのかと少々心配になった。
少し下ると、再び進路が西向きに変わってひと安心。背の低い樹木帯が広がる中を進んでいく。
ロープを使ってのぼる箇所に差し掛かる。このあたりにはアズマシャクナゲが群生しており、5月頃には美しい花をつけるという。花の時期にまた訪れたくなるような景色を想像しながら進む。
駱駝山の稜線に出た。見晴らしが一気に開け、稜線から望む周囲の景色に心を奪われる。
一切経山の山頂と似た茶色がかった山肌が、荒涼とした雰囲気を醸し出している。
稜線の形状はまるでラクダのよう。まさに駱駝山という名前がぴったりだ。
稜線を歩きながら、目の前に迫る岩場がまるでラクダのコブのように見えてくる。
ラクダのコブのような岩場に入っていく。岩場を越えるたびに新たな絶景が現れる。
ラクダのコブを越えると、さらにコブのアップダウンが待ち構える。奥にそびえる大きなコブが駱駝山の山頂だ。ついに目標がはっきりと見えた。
砂や小石が多く、滑りやすい箇所が続くため、足元に注意しながら慎重に進む。バランスを保ちながらの歩行が必要だ。
ようやく駱駝山の大きなコブが正面に迫ってくる。迫力のある姿に圧倒されつつも、山頂への期待感が膨らむ。
目の前にそびえる岩場は、人が積み上げた巨大なケルンのようにも見える。自然の力でここまでの形状が作られたことに驚かされる。
駱駝山のコブを一歩一歩慎重にのぼっていく。この険しさの先に絶景が待っている。
ついに駱駝山の山頂が見えてきた。達成感とともに、次に待つ景色への期待が最高潮に達する。
駱駝山山頂からカモシカ沢登山口
駱駝山(らくだやま)山頂(標高1,704m)に到着!
目の前には、雄大な吾妻小富士と浄土平の絶景が広がり、まるで空に浮かんでいるかのような大パノラマを堪能できる。
下調べ時に気になっていた駱駝山まで、ついに辿り着いてしまった。
眼下にのびる磐梯吾妻スカイラインの曲がりくねった先を辿って見ると、遠くに浄土平の駐車場が小さく見える。
「この先の登山道を進むべきか?それとも来た道を戻るべきか?」そんな迷いが頭をよぎる。スマートフォンのGoogleマップでは登山道までは確認することができない。
かえり道の選択に悩む。そんな中、同じく駱駝山山頂にいた4人組の登山グループさんに話しかけてみた。この先のルートを進んで「カモシカ沢登山口」に下りられることを教えていただいた。経験豊富そうな方々のアドバイスに心強さを感じた。
このグループさんは「不動沢登山口」という別のルートで下山するそうだが、途中まで同じルートということで「カモシカ沢分岐」まで同行させていただくことになった。
さらに登山用GPSでルートを見せていただき、地図上で進むべき道が視覚的に確認できたことで非常に助けられた。
登山道は砂や小石が多くて滑りやすい箇所が続く。
これまで登ってきた山々の比較的整備されたハイキングコースとは雰囲気が異なる。少しスリルを感じるルートだ。こんな未知のルートを私たちだけで進んでいたら、不安でたまらくなっていただろう。
迷いそうな箇所では、ピンクテープの目印を探すと良いと教わった。この小さな目印が登山者を正しいルートへ導いてくれる。
やがて「白トンガリ」と呼ばれるピークが視界に入る。遠目から見てもその特徴的な形状が目を引く。
下から見上げると結構高くて迫力がある斜面だ。上にのぼると景色が良さそうだが、体力的にのぼるのを避けることにした。
カモシカ沢分岐に到着。
ここで同行させていただいた4人組のグループさんとお別れだ。彼らのおかげで、ここまでの道のりはとても心強かった。深く感謝しつつ、カモシカ沢登山口に向けて登山道を進む。
ここからカモシカ沢登山口までは約30分とのこと。これまでのルートに比べて、この先は人が少ないようで、静かな自然の中を進む独特な空気感が漂う。
人気(ひとけ)の少ないルートでは熊に遭遇する可能性もあるため、会話をしながら歩くのが良いと教わった。静かな登山道で自分たちの声を響かせながら進むのは初めてで、少し不思議な感覚だ。
熊の話を聞いた影響で、なるべく意識的に声を出しながら進む。見晴らしの良い場所に出ると不思議とほっとする。
久しぶりの登山ということもあり、膝がだんだん笑い始める。普段使わない筋肉を使っていることを実感しつつ歩みを進める。
登山道はグネグネと曲がりくねりながら下りていく。曲がるたびに新しい景色が現れるので単調さは全く感じない。
沢のような場所を渡る箇所に到着。
渡るべきルートには目印があり、迷わず正しい道を進むことができた。
整備された階段状の箇所に差し掛かる。
このあたりは滑りやすそうな白い砂や小石が広がっているので、疲れた足に大きな負担をかけずに進めて助かる。
途中、吾妻小富士と浄土平を見渡せるポイントがあった。駱駝山山頂から見た景色とはまた違う角度で楽しむことができ、吾妻小富士との標高差からここまで下りてきたことを実感することができる。
そして、シモフリ山の目の前に到着。
登山道はシモフリ山の前を左折する形で進むルートが示されている。山を回り込むように北側の斜面へと移動していく。
北側斜面の日陰に入る。足元には砂や小石が続くので、滑らないように注意しながら進む。
やがて松の木が茂るエリアに差し掛かる。カモシカ沢登山口はもう近いと感じられる。
V字谷のような沢が現れる。これがカモシカ沢なのだろうか?
V字谷のような沢に降り立つ。沢のようだが水は流れていない。
視界の向こうにカモシカ沢登山口が見える。その背後には磐梯吾妻スカイラインを走る車が見え隠れする。渋滞する車の列が遠くに見えるが、それさえも下山の達成感を引き立ててくれる。
ついにカモシカ沢登山口に到着!達成感と安心感が心を満たす。あとは磐梯吾妻スカイラインをのぼって浄土平の駐車場に戻るだけだ。
カモシカ沢登山口から浄土平
磐梯吾妻スカイラインを横断してカモシカ沢登山口を振り返る。数台の車が停められるスペースがあるが、駐車場として整備されているわけではないので利用には注意が必要だ。
スカイラインを少し浄土平方面に進みながら再度カモシカ沢登山口を振り返る。ここから見ると、登山口付近の地形が独特のV字谷になっていることがよく分かる。
前方にそびえる吾妻小富士が印象的。
磐梯吾妻スカイラインは歩行者専用道が整備されていないため、車の往来には十分注意が必要。カーブが多くて視界が限られる場所もあるので、車道のはしを歩きながら進む。
途中、火山性有毒ガス発生中の警告看板を目にする。「駐停車禁止」と大きく書かれており、火山活動の影響を肌で感じる。この区間は渋滞で停車することのないように交通整備されている。実際に火山ガスの独特な匂いが漂っていたため、深く息を吸わないように速足でこの区間を通過した。
駐停車禁止区間を抜けると、ほっと一息。歩く速度を少し落としながら、周囲の風景を改めて楽しむ余裕が生まれる。
スカイラインのグネグネ道をあがったところで来た道を見下ろしてみる。この位置からは、カモシカ沢登山口や歩んできたルートが一望できる。
さらに視線を上げると、今回登った駱駝山が見える。この角度から見ると、改めてラクダのコブ中を連想させるその特徴的な山容がはっきりと分かる。山頂に立ったときの景色や達成感が脳裏に蘇る。
ついに浄土平に到着。
駐車場の向かい側には吾妻小富士の登山口が見える。時間が許せば登って帰ろうと思っていたが、さすがに体力的に今回は断念。
次回、改めてチャレンジする楽しみを残しておくことにした。浄土平のベンチで一息ついて、今回の登山の締めくくりを味わった。
一切経山から駱駝山登山まとめ
今回は、浄土平の駐車場から「一切経山」の山頂を目指し、一切経山の山頂からは魔女の瞳が別角度から見下ろせる「家形山」に行ってきた。家形山から一切経山に戻ってからは、来た道を戻らずに「駱駝山」を経由して「カモシカ沢登山口」に向かい、最終的には磐梯吾妻スカイラインを使って浄土平の駐車場へと戻るルートで完結した。
駱駝山では、吾妻小富士と浄土平の絶景が広がる大パノラマをのぞみ、自然のダイナミズムを感じることができた。4人組の登山グループさんに助けていただいたことについて、この場を借りて改めてお礼を言いたいと思う。また、一歩間違えれば命にかかわるので、山に入る時はしっかりと準備してのぞみたいと思う。
本記事では、一切経山から駱駝山を経由する登山ルートをお伝えしたが、「一切経山登山」や「家形山登山」についても、それぞれ別の記事で詳しく紹介していいるので、併せて参考にご覧いただけたらと思う。