
新宿の老舗「天ぷら船橋屋」で昼飲み!特選「松」を3種の塩で食べ比べ
2026/10/04
新宿東口の老舗「天ぷら船橋屋 新宿本店」で、土曜の昼から瓶ビールを片手に天ぷらを味わってきた。
注文したのは、通年のお品書きにある特選天ぷら「松」だ。卓上には自然塩・ハーブソルト・藻塩の3種の塩と天つゆが用意されていて、ネタごとに食べ方を変えられるのがこの店の楽しみ方である。
驚くような一皿があるわけではない。だが、揚げたてが次々と出てくるカウンターで、どのネタも最後まできちんとおいしく、ちょっと背伸びした贅沢ランチとしての満足感が十分だった。なかでもいちばん気に入ったのは、穴子を自然塩で食べる組み合わせだ。
新宿のど真ん中で老舗の暖簾をくぐる贅沢

新宿三丁目、双葉通り沿いの角地に建つのが「天ぷら船橋屋 新宿本店」だ。
入口の上には、右から「船橋屋」と読む木の扁額が掲げられ、年季の入った文字が老舗らしい風格を漂わせている。新宿駅東口の喧騒からほど近い場所にありながら、店先だけは昔ながらの空気をまとっている。

店名に「船橋」は世田谷の船橋村に由来する。
店内のメニューによると、明治初期に初代・高橋兼次郎が船橋村(現在の世田谷区船橋)を離れ、今の本店がある新宿三丁目で焼き芋屋を開いたのが船橋屋の始まりだという。メニューの最後のページには当時の地図が載っており、焼き芋屋だった頃の船橋屋の位置が示されている。天ぷらを待つあいだに眺めると、この場所で長く商いを続けてきた重みが伝わってくる。
以前来店した際は行列ができていたため、今回は昼時を外して土曜の14時半ごろに訪問した。狙いどおり待ち時間はなく、すぐにカウンターへ案内された。それでも手前のカウンターは満席で、奥のカウンターは使われていなかった。昼のピークを過ぎても客足が途切れない店である。
メニューと特選「松」を選んだ理由

店頭には、天丼から季節の味覚コースまでのメニューが並ぶ。日本語版の隣に英語版も用意されていて、海外からの観光客にも配慮されている。

その横には、季節の天ぷらのお品書きが掲げられている。訪問時は夏で、はも、穴子、若あゆ、白舞茸、伏見とうがらし、おくら、ゴーヤ、茗荷の子、グリーンアスパラが並んでいた。「本日 貝柱入荷ございません」の札も添えられており、その日の仕入れによってネタが変わることがうかがえる。

店内のメニューは「天ぷら・お食事」「特選天ぷら・お食事」「天ぷら」「特選天ぷら」「丼物」に分かれている。

野菜だけで組んだ天ぷら、季節ネタを中心にしたおすすめのコース、天丼・天重・かき揚げ丼といった丼物までそろい、選択肢は幅広い。「船橋屋名物」と書かれたジャンボかき揚げも目を引く。

カウンターには単品の「天ぷらいろいろ」もあり、好きなネタを1品から追加で頼める。夏の天ぷらの欄は赤枠で囲まれていて、季節ネタを単品で味わうこともできる。
瓶ビールで乾杯、卓上には3種の塩と天つゆ

昼飲みなので、まずは瓶ビールを頼む。
キリン一番搾りの瓶とグラスが届き、休日の昼下がりに老舗のカウンターで一杯目を注ぐ。それだけで贅沢な気分になれる。

卓上のメニューには、天ぷらのほかに「酒の友」として小あじの南蛮漬けやもずく酢、まぐろぬた、茶わんむしなどが並び、刺身も用意されている。天ぷらをつまみに飲むだけでなく、一品料理と合わせて昼飲みを楽しむこともできる。

続いて御膳が届く。ごはん、しじみの赤出汁、香物、おろし生姜をのせた大根おろし、天つゆがそろい、天ぷらを迎える準備が整った。

カウンターには、天つゆの入った朱塗りの器や小さな薬味入れが並ぶ。

卓上のカードには、「船橋屋流」の天ぷらの食べ方として、天つゆと3種の塩が紹介されている。

取り皿に、自然塩、ハーブソルト、藻塩を盛る。真っ白でさらさらの自然塩に対し、藻塩はほんのり茶色がかった粗めの粒、ハーブソルトは黒い粒が混じっている。

天つゆは色が濃く、器の底に描かれた紋がかすかに透けて見える。大根おろしは、天ぷらが届いてから好みの量を加えればいい。
特選「松」を3種の塩で食べ比べ
天ぷらは揚げたてが数品ずつ、カウンター越しに出てくる。一度に全部が並ぶのではなく、食べ終える頃に次が届くので、どのネタも揚げたての状態で味わえる。冷めないうちに、ネタごとに塩と天つゆを試していった。
特選「松」:海老

最初に届いたのは、巻海老2本とキスだ。白い敷き紙の上に、揚げたての3品が並ぶ。

海老は尾まできれいに揚がり、赤い尾が衣の色によく映える。衣は身に沿って薄くまとわっていて、海老の形がそのまま分かる。

2本あるので、1本目は自然塩、2本目はハーブソルトと、食べ方を変えられるのがうれしい。

どちらで食べても、海老の甘みを邪魔することはない。
特選「松」:キス

キスは開いた身に衣をまとい、縁が花びらのように広がった姿で出てくる。

藻塩と、大根おろしを入れた天つゆで食べた。淡白な白身なので、どちらで食べても素直においしい。

天つゆにくぐらせると、衣がだしを吸ってやわらかな口当たりになる。
特選「松」:インゲン

野菜の1品目はインゲンだ。数本をひとまとめにして揚げてあり、薄い衣越しに鮮やかな緑が透けて見える。

藻塩と天つゆで食べた。数本がまとまっているので、箸で持ち上げやすい。

一度にしっかりとした食べ応えがある。
特選「松」:穴子

今回いちばん気に入ったのが、この穴子だ。身の厚い1本が2つに切り分けられて届き、断面からは白い身がのぞいている。

自然塩をつけて食べるのが、いちばん好みだった。素材と衣の風味をそのまま引き立てるという店の説明どおり、穴子そのものの味をまっすぐに楽しめる。

ハーブソルトも試したが、穴子には香りを足さない自然塩のほうが合うと感じた。

天つゆも悪くないが、穴子はシンプルに自然塩で味わいたい。8品のなかで、この組み合わせがいちばんの満足感だった。
特選「松」:茄子と玉ねぎ

続いて、かき揚げ・茄子・玉ねぎがまとめて届いた。茄子には扇状に切り込みが入れてあり、紫の皮が衣越しに透けて見える。

茄子は自然塩と天つゆで食べた。

切り込みのおかげで天つゆがよく絡む。

玉ねぎはハーブソルトと天つゆで食べた。

厚めの輪切りで、断面から白く透き通った層がのぞく。
特選「松」:かき揚げ

かき揚げには小海老と三つ葉が入っている。箸で割ると、ぷりっとした小海老がいくつも顔を出す。まずは自然塩で食べた。

次に、大根おろしを入れた天つゆにくぐらせる。

最後は天つゆを吸ったかき揚げをご飯にのせ、小さな天丼にした。「松」は8品をおかずにごはんを食べ進める構成だが、残しておいたかき揚げを天丼風にして締めるのもいい。

しじみの赤出汁で締めて、「松」は完食だ。
連れとシェアした「夏の天ぷら盛り合わせ」

卓上のメニューには、季節限定の「夏の天ぷら盛り合わせ」がある。穴子・伏見とうがらし・おくら・ゴーヤの4種で、連れとシェアして酒のつまみにした。

皿いっぱいに盛られて届き、ボリュームは想像以上だった。輪切りのゴーヤ、細長い伏見とうがらし、おくら、穴子が重なり合うように盛られ、2人でシェアしても十分な量だ。

伏見とうがらしは、薄い衣越しに緑がよく見える。ビールのつまみとして、夏の野菜を何種類もつまめるのがうれしい。季節によって中身が入れ替わるので、訪れる時期によって内容は変わる。
まとめ

「天ぷら船橋屋 新宿本店」は、驚きを狙う店ではない。通年のお品書きにある「松」を頼めば、どのネタもきちんとおいしい天ぷらが、揚げたてのまま数品ずつ届く。3種の塩と天つゆを使い分けながら8品を食べ進める時間そのものが、この店の楽しみといえる。
ちょっと背伸びした贅沢ランチや、休日の昼飲みにちょうどいい。行列を避けたいなら、昼時を外すのがねらい目だ。土曜の14時半ごろなら待たずに入れたのでおすすめだ。













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