
麻布十番「更科堀井」!元祖「更科」として知られる江戸蕎麦の超老舗店
2025/03/22
江戸蕎麦の御三家や三大系統などと呼ばれる「藪」「砂場」「更科」。その中で、更科蕎麦の元祖として知られるのが、麻布十番にお店を構える「更科堀井」さんだ。
更科蕎麦の特徴は、そばの実の中心部分(一番粉)を使用することで生まれる、透き通るように白い蕎麦と上品な甘み。なめらかな喉ごしと洗練された味わいは、蕎麦の中でもひと際異彩を放つ。200年以上の歴史を誇るこの名店では、代々受け継がれる技法で打たれた白く上品な更科蕎麦を楽しむことができる。
今回は、そんな「更科堀井」さんを訪れ、看板メニューである更科蕎麦と、もりそばをいただいて江戸の粋を感じる蕎麦の魅力をたっぷりと楽しんできたので、その味わいと魅力をご紹介したいと思う。

「更科堀井」さんは、麻布十番大通り沿いに立地しており、アクセスも良好。老舗の蕎麦屋ながらも初めて訪れる人でも入りやすい雰囲気がある。

店頭には、ガラス張りのショーケースに食品サンプルが並べられており、主なメニューや価格を事前に確認することができる。伝統的な「さらしな」をはじめ、「季節の変わりそば」「鴨せいろ」といったバラエティ豊かなラインナップが揃い、どれを注文しようか悩んでしまう。さっそく店内へと足を踏み入れて見たいと思う。
南千住「砂場総本家」のメニュー

更科堀井さんでは、「もりそば」「さらしなそば」「十割そば」「季節の変わりそば」の4種類のせいろそばが提供されている。そばつゆは「甘口」と「辛口」の2種類があり、そばの種類によって使い分けられている。

基本のもりそばをベースとした「天せいろ」や「吸いせいろ」など、アレンジメニューも豊富。伝統の更科蕎麦を楽しむもよし、豪華な天せいろを味わうもよし、何度訪れても違う楽しみ方ができるのも更科堀井さんの魅力だ。今回は、この中から看板メニューの「さらしなそば」と「かき揚げ天もり」をいただくことにした。
- ▼麻布十番「更科堀井」の主なメニュー
- ・もりそば:900円(税込)
- ・さらしなそば:1,000円(税込)
- ・十割そば:1,500円(税込)
- ・季節の変わりそば:1,120円(税込)
- ・かき揚げ天もり:2,150円(税込)
- ・鴨せいろ:2,150円(税込)
- ・冷やしとろろ:1,480円(税込)
更科堀井「かき揚げ天もり」

まずはビールで乾杯!
お通しとして提供されるのは「揚げ蕎麦」。カリッとした香ばしさがあり、つまみとしても優秀。これをポリポリと味わいながら、お蕎麦の到着を待つ。

程なくして「かき揚げ天もり」が運ばれてくる。かき揚げのボリュームが目を引く。

そばつゆは「甘口」と「辛口」の2種類があり、もりそばには辛口のそばつゆが付いてくるのが基本。

目の前に並んだ蕎麦は、瑞々しく美しい佇まい。シャープに揃った細打ちの蕎麦が上品な印象を与える。東京の蕎麦らしい、シンプルでオーソドックスな「もりそば」だ。

「甘口」と「辛口」のそばつゆは、一目で区別がつくカラーの異なる徳利で提供される。

まずは、もりそばをそのままいただき、蕎麦の香りと歯ごたえを確認。次に辛口のそばつゆにつけて一口。キリッとした辛口のつゆが蕎麦の甘みを引き立て、噛むごとに心地よい食感が広がる。

そして、「かき揚げ天もり」の主役とも言えるかき揚げ。カラっと揚がったかき揚げは、見た目もなかなかのインパクト。更科堀井さんを訪れたら絶対にハズせない一品と言える。

食べやすいようにかき揚げを箸で崩しながらいただく。サクサクを超えたザクザクとした食感が楽しめる。

見た目のボリュームとは裏腹に、全然油っぽくない。衣に使われている細かな天かすが更なるザクザク感を生み出す。上品なもりそばと豪快なかき揚げ。この対比もおもしろく満足度の高い一品だった。
更科堀井「さらしなそば」

続いて、更科堀井さんの看板メニューである「さらしなそば」をいただく。更科蕎麦の元祖として知られるお店ならではの特別な一品だ。

「さらしなそば」には基本、甘口のそばつゆが付いてくる。そばの種類によってつゆを使い分けているのも、更科堀井ならではのこだわり。

「もりそば」と「さらしなそば」を並べると、その違いは一目瞭然。もりそばの色がやや灰色がかった二八そばなのに対し、さらしなそばは透き通るように白いそば。

そばの実の中心部分(一番粉)のみを使用することで生まれる、純白で透明感のある美しい蕎麦。贅沢な製法ならではの上品な仕上がりで、一般的な蕎麦とは別の料理のようにも見える。

さらしなそばは、白くて美しい見た目とつるりとした喉越しを楽しみたい。先ほどいただいたもりそばとは異なる、しなやかな弾力とほのかな甘みが感じられる。さらに、鰹出汁の旨みが効いた甘めのそばつゆが、さらしなそばの繊細な風味をしっかりと引き立てている。

最後はそば湯で締める。湯桶には「さらしなほりい」と平仮名で店名が描かれており、細部にまで老舗の風格を感じさせてくれる。

さらしなそばらしく、そば湯も上品でさらりとした仕上がり。最後の一口まで優雅な余韻を楽しむことができた。さらしなそば特有の上品な味わいを堪能し、最後まで美味しくいただくことができた。
麻布十番「更科堀井」の店舗情報

麻布十番に店を構える「更科堀井」さんは、江戸蕎麦の御三家「藪・砂場・更科」のひとつ、更科蕎麦の元祖として知られる老舗で、創業1789年(寛政元年)から続く伝統の味は、今もなお多くの蕎麦好きに愛されている。
今回いただいた「かき揚げ天もり」は、ザクザクとした食感が楽しいかき揚げと、シンプルで上品なもりそばの組み合わせを楽しむことができた。そして、「さらしなそば」は、真っ白で透明感のある見た目が特徴的で、つるりとした喉越しと甘口のそばつゆが見事に調和。そばの種類ごとに異なるつゆを使い分けるこだわりも、老舗ならではの魅力を感じた。
また、蕎麦だけでなく、江戸の粋を感じる蕎麦前の楽しみも充実しており、揚げ蕎麦をつまみに日本酒やビールを一杯なんて過ごし方もおすすめだ。
更科蕎麦の伝統を受け継ぐ名店「更科堀井」で、江戸蕎麦の歴史とこだわりを存分に堪能するひとときを過ごしてみてほしい。