浅草・田原町「やっ古(やっこ)」!鰻の超老舗で二百年の伝統を味わう
2024/11/09
浅草・田原町の鰻の超老舗店「やっ古(やっこ)」さん。寛政年間の創業から二百年以上もの間、江戸の風情と伝統の味を守り続けてきたお店だ。
浅草のうなぎ店は古くから江戸っ子に愛され、百年以上の歴史をもつお店も多い中、二百年という長い歴史を誇る「やっ古」さんは、まさに老舗中の老舗。今回は、この歴史ある「やっ古」さんを訪問してきたので、浅草で江戸の味を味わいたいと考えている方、また老舗うなぎ店巡りを楽しみたい方にも、ぜひ参考にしていただければと思う。
浅草の賑やかな雷門通りに面したビルの1階に、「やっ古」の入口が静かに佇んでいる。ビルの一角にありながらも、その外観には老舗ならではの品格が漂う。
初めて訪れる方にとっては、老舗特有の敷居の高さを感じるところだが、そんな不安を和らげてくれるのが店頭に設置された「おしながき」。メニューには価格が分かりやすく表示されており、訪れるお客さんが安心して入店できる雰囲気が作られている。
老舗でありながらウェルカムな空気があり、誰でも気軽に立ち寄れるよう配慮されているように感じられる。
「やっ古(やっこ)」のメニュー
うな重には、単品と定食の二つのスタイルが用意されている。単品には肝吸いとお新香が付いてくる。うな重は「椿」「梅」「桜」「桐」の4つのグレードに分かれていて、それぞれで鰻の量が異なるので、食べたい量や予算に応じて選ぶとよいだろう。
蒲焼と白焼も用意されており、蒲焼は「椿」「梅」「桜」「桐」の4グレード、白焼は「菊」「藤」の2グレードで提供されている。
幕末の政治家である勝海舟と、その盟友ジョン万次郎が訪れて鰻を楽しんだという記録が残っている。この逸話は店のメニューにも記され、ふと歴史に思いを馳せることができる。
「う巻」や「うざく」はもちろん、珍しい「うなぎハム」や、香ばしい「うなぎ骨の唐揚げ」など、鰻を多様な形で楽しめるメニューが並ぶ。
メニューの「やっこの鰻」に記されている一文には"身が崩れる寸前まで柔らかく蒸した鰻が最高"であると述べられている。
実際に口にしてみると記述されている通り、ふっくら柔らかく蒸し上げられた鰻の繊細な食感が感じられ、これが「やっこ」さんの鰻のこだわりであり特徴だと言える。
江戸前の蒲焼は、割く→蒸す→焼くの順で調理されますが、身が崩れる寸前まで柔らかく蒸した鰻が最高と言われています。
やっこの蒲焼をお試しください。その身の柔らかさは、口の中でとろけるようです。
※引用元:メニューより
- ▼「やっ古(やっこ)」の主なメニュー
- ・うな重(椿):2,950円(税込)
- ・うな重(梅):3,650円(税込)
- ・うな重(桜):4,600円(税込)
- ・うな重(桐):7,200円(税込)
- ・う巻:1,950円(税込)
- ・うざく:1,850円(税込)
- ・うなぎハム:1,400円(税込)
- ・うなぎ骨唐揚げ:500円(税込)
焼き上がり前の一杯
鰻が焼き上がるまでのひとときを、軽く一杯やりながら楽しむ。この日のお供は、アサヒプレミアム生ビールの「熟撰(じゅくせん)」。江戸の風情に浸りながら味わうにはぴったりのビールだ。
おつまみには「肝わさ」と「う巻」を注文。鰻を待つ間の良いアクセントとなるが、どちらも主役級の一品だ。
肝焼きがあるかを店員さんに尋ねたところ、残念ながら肝焼きはメニューに無いが、「肝わさ」ならご用意できるとのこと。
肝わさ?と思って聞いてみると、茹でた鰻の肝をわさびでいただく一品だそう。味わったことのない食べ方に興味が湧き、注文してみることにした。
「肝わさ」は、茹でた肝にわさびを添え、醤油を少しつけていただくスタイル。まるで「板わさ」のような一品だ。求めていた味とは異なるが、鰻の肝をこんな形で楽しめるのは新たな発見で、これはこれで楽しむことができた。
続いて「う巻」。
ふんわりと焼き上げられた「う巻」は、うなぎの旨味が卵に包まれており、一口ごとに鰻と卵が一体となった風味が口の中に広がる。
う巻にはさっぱりとした大根おろしが添えられており、一緒にいただくことでさらに味わいに深みが増す。鰻を待つ間に、こうしたおつまみで十分で満足感が得られるのも名店に必要な要素と言えるだろう。
やっ古(やっこ)の「うな重(桜)」
一杯やりながら待っているところに、ついに「うな重(桜)」が運ばれてきた。目の前に置かれた重箱、それに肝吸いとお新香が添えられる。
早速、重箱のフタを開けてみる。
美しい色目がついた蒲焼きが重箱の中に並ぶ。これから至福のひとときが始まる。
焼き上がった蒲焼きの表面の照りや焦げ目から、蒸しの工程で余分な脂が程よく落とされているのが見て取れる。この蒸し加減こそが「やっ古」さんのこだわりでだと思うので、意識して味わいたい。
まずは鰻とご飯を一緒にいただくことに。
うな重は、重箱の左手前側から順にご飯と一緒に食べ進めるのが正しい作法らしいので、その手順でいただく。
今度は蒲焼きだけを味わってみる。
しっかりと蒸されて、まさに「身が崩れそう」なほどの柔らかさで、口に入れた瞬間にほろっとほどけるような食感。タレは江戸っ子が好みそうな辛口で、甘さを抑えたきりっとした味が鰻の旨味を引き立てる。
続いて肝吸いをいただく。
お椀から漂う優しい香りとともに、澄んだお出汁がじんわりと広がり、繊細な味わいに心が癒される。このあっさりとした肝吸いとうな重のバランスは絶妙で、贅沢な食体験をさらに深めてくれる。
改めて鰻に箸を運ぶと、ふんわりと柔らかい身から艶やかな脂がにじみ出ているのがわかる。ふっくらした食感と鰻の豊かな旨味が溶け合い、タレがそれを見事に引き立てている。まさに江戸から続く伝統の味であり、一口ごとにその歴史と技を感じることができた。
「やっ古(やっこ)」の店舗情報
今回は、寛政年間創業という二世紀にわたる長い歴史の中で育まれた江戸の風情と伝統の味を求めて、浅草・田原町の老舗「やっ古(やっこ)」さんを訪問して紹介したがいかがだっただろうか?
しっかりと蒸された柔らかな鰻、江戸の辛口のタレ、そして心まで癒される肝吸いなど、どれも老舗ならではの味わい深い逸品で、老舗の味を堪能することが出来た。浅草観光や老舗巡りが好きな方も、江戸の味を楽しみたい方も、ぜひ「やっ古(やっこ)」さんの暖簾をくぐって長い歴史を経て受け継がれてきた味を味わいに、足を運んでみてほしい。
- 「やっ古(やっこ)」の店舗情報
- 住所:東京都台東区浅草1-10-2
- TEL:03-3841-9886
- 営業時間:11:30~20:00
- 定休日:水曜
- 駐車場:無