
南千住「砂場総本家」を訪問!砂場そばの系統で現存最古の超老舗店
2025/02/06
江戸にあった砂場そばの系統のお店の中で、最も古い歴史を持つ南千住「砂場総本家」さん。
糀町砂場で知られる「糀町七丁目砂場藤吉」が南千住に移転したのは大正元年のことで、今でも名店として知られる日本橋「室町砂場」、虎ノ門「大坂屋砂場」も糀町砂場から暖簾分けされたというから驚きだ。
そんな由緒正しい超老舗店ではあるが、長い歴史を背負いながらも、現在はただの「町のお蕎麦屋さん」だという声も耳に入ってくる。どうであれ江戸グルメを食べ歩く上で、外せない一軒であることは間違いない。今回はそんな南千住「砂場総本家」を訪問し、その由緒ある店の雰囲気と蕎麦の味を楽しんできたので紹介したいと思う。

南千住「砂場総本家」さんは、「ジョイフル三の輪商店街」の中に立地する。アーケード商店街の中にありながら、ここだけ別世界。1954年(昭和29年)に建てられたという総檜造りの建物が目を引く。堂々とした風格が漂い、まさに老舗らしい存在感だ。

この建物は荒川区の文化財にも指定されているそうで、商店街の中でもひときわ目立つ存在。歴史を感じさせる木杭も残されている。

早速店内へ。
お昼時を完全に過ぎた時間帯だったこともあり、特に待つことなくスムーズに入店することができた。
南千住「砂場総本家」のメニュー

メニューは温かいそばと冷たいそばが混合している。ご飯ものや季節ものも充実しているので、軽めのランチからしっかりとした食事まで幅広く楽しめそう。江戸そばを味わうなら、やはり冷たいそばが最適ということで、今回は「天ざる」を注文することにした。

まずは蕎麦が来るまで「蕎麦前」を楽しむことに。ひとまず瓶ビールで乾杯!キンキンに冷えたグラスでいただくビールは格別だ。
- ▼南千住「砂場総本家」の主なメニュー
- ・かけ:650円(税込)
- ・もり:650円(税込)
- ・ざるそば:800円(税込)
- ・おかめ:870円(税込)
- ・天ざる:1,550円(税込)
南千住「砂場総本家」

最初に「天ざる」の天ぷら盛り合わせと、そばつゆ、薬味が一緒に運ばれてきた。
ここでちょっと迷うところ。天ぷらをそばつゆに浸してしまうと、あとからそばを食べる際に風味が混ざってしまうのではないかと気になってしまう。そのため、そばが運ばれてくるまで天ぷらをいただくのを待つことにした。

天ぷらは、海老、かぼちゃ、シシトウ、人参、えのきの五品。季節ごとに内容が変わるそうで、旬の素材を楽しめるのも「天ざる」の魅力だ。

ほどなくして、おそばが運ばれてきた。量はそれほど多くはないが、シンプルな盛り付けに老舗らしい落ち着きを感じる。

「ざる」に「天ぷら」が加わると、見た目が一気に豪華になる。天ぷらの彩りが加わることで、より食欲がそそられる。

そばは長めに細く打たれており、口当たりはつるつると滑らか。噛むとしっかりとしたコシが感じられる。つるりと喉を通る感覚が心地よい軽やかなおそばに仕上がっている。

そばつゆはやや濃いめの味わいだが、濃口と言いつつも、藪蕎麦の濃いとは違ってあとからほんのりと甘みが広がる。そば全体をつゆにしっかり浸さなくても十分に風味が楽しめるが、多めに浸しても甘みが増してさらに美味しくいただける。そばが長めに仕上げられているのは、このつゆとの相性を考えたものかも知れない。

最後はそば湯でほっと一息。
年季の入った湯桶には砂場ならではの「砂」の紋が描かれており、老舗の歴史を感じさせる。
そば湯はそば粉の旨味がたっぷり溶け込んでおり、とろりと濃厚。まろやかな味わいが楽しめた。江戸そばらしい風味と軽やかな食感を楽しみながら、最後まで美味しくいただくことができた。
南千住「砂場総本家」の店舗情報

南千住「砂場総本家」さんは、由緒正しい超老舗店でありながら、現在はただの「町のお蕎麦屋さん」であると事前に聞いていた。実際に訪れてみると、たしかに親しみやすさがあって、地元の人々の日常に溶け込んでいた。
これは、歴史と伝統を大切にしながらも、南千住という土地柄に合わせて進化し、現代に馴染む形で営業を続けられているのだと感じた。格式ばかりを押し出すのではなく、誰もが気軽に訪れ、江戸そばの味を楽しめるのが「砂場総本家」さんの魅力だ。
歴史を感じながら、ほっとする味わいを楽しめる「砂場総本家」さん。南千住を訪れた際には、ぜひその粋なそばを味わい、江戸時代から続く伝統に触れてみてほしい。
- 南千住「砂場総本家」の店舗情報
- 住所:東京都荒川区南千住1-27-6
- TEL:03-3891-5408
- 営業時間:11:00~17:00
- 定休日:水・木
- 駐車場:無