サンマーメン発祥は聘珍楼？玉泉亭？代表する２店の由来を調べて納得

2019/10/08

横浜でラーメンと言えば「家系ラーメン」が全国的にも有名ですが、横浜には「サンマーメン」という横浜発祥のラーメンがあります。

サンマーメンは、神奈川のご当地ラーメンと呼ばれるとおり、横浜を中心に神奈川県内の中華料理店・中華食堂やラーメン店に広く普及しています。

サンマーメン発祥として「聘珍楼」「玉泉亭」という２つの代表的なお店があるので、由来の調査と共にこの２つのお店のサンマーメンを食べに行ってきました。

サンマーメンの発祥を下調べ

実際にサンマーメン発祥と言われる２店舗に行く前にいろいろと下調べした事を書いておきます。

もともと、

など、サンマーメンの発祥については諸説ありますが、実は本当のところは誰にも分かっていません。

横浜中華街にもやし工場があった！？

サンマーメンの具の主役がもやしである事、横浜中華街にもやし工場があった事から、サンマーメンが横浜中華街の中華料理店のまかない食だったという説はかなり有力視されています。

「生碼麺」と「生馬麺」の漢字から由来を探る

「かながわサンマ－麺の会」のHPによると、広東語で「生馬麺」の「生（サン）」は新鮮でしゃきしゃきした、「馬（マー）」は上に載せるという意味があるそうです。「生碼麺」表記の場合の「碼（マー）」は港の埠頭を表す意味で、港で働く労働者に提供されていた麺料理と言う説にも結び付きます。

また、「Wikipedia」によると、北京語の方言では、麺類にのせる細切りの具の意味で「碼」が用いられているそうで、北京料理であんかけの麺が多くみられるという説にも説得力があります。

日本最古の中華料理店「聘珍楼（へいちんろう）横濱本店」

「聘珍楼（へいちんろう）」は横浜中華街のメインストリート「横浜中華街大通り」にある日本最古の中華料理店です。

昭和5年（1930年）に当時の聘珍楼本店の料理長が考案したものだそうで、横浜開港資料館に1930年代当時のメニュー表が史料として所蔵されており、「生嗎麺」の文字の記載を確認する事ができます。

実際に聘珍楼の横濱本店に行って来ました！
聘珍楼は横浜中華街で一番歴史があるお店で、街の中華食堂ではなく明らかに高級中華料理店なのでなんだか緊張します。この空気でラーメン一杯を注文するのは庶民には少々勇気が必要です。

聘珍楼のサンマーメンは1,000円（表示価格に別途消費税と10%のサービス料がかかります）。
メニューを見ると、「麺・飯・点心」の単品メニュー欄の一番上部に「生嗎麺・サンマー麺（豚肉細切りともやし入りつゆ麺）」の文字があります。メニューには、昭和5年に当時の料理長が創案した麺料理だとはっきりと書いてありました。

無事にサンマーメン到着。
ラーメン着丼！という雰囲気は全くありません。聘珍樓のサンマーメンは、豚肉細切りと大豆、緑豆の２種類のもやしをメインに青菜、赤ピーマン、タマネギ、キクラゲ等の具材が入っています。さすがは聘珍樓とも言うべく、彩り豊かな見た目も楽しいサンマーメンです。

スープはコクがある奥深い味わい。B級グルメではなく上品に高級中華料理を食べているという感覚でした。
ラーメン一杯では申し訳ないと別にチャーハンを注文しましたが、結構ボリュームがあるので点心くらいにしとけば良かったなと思いました。

大正時代創業の老舗「玉泉亭（ぎょくせんてい）本店」

伊勢佐木町にある「玉泉亭（ぎょくせんてい）」もサンマーメンの発祥の店と言われているお店のひとつ。お店の外観は街の普通の中華屋さん。サンマーメン発祥のお店と聞いて、行列覚悟で行きましたが普通に入れました。

創業大正７年（1918年）。創業当時は曙町で営業、戦後に現在の場所に移転したそうです。
メニューにはサンマーメン（650円）と漢字ではなくカタカナで記載されていました。

醤油味の中華そばの上には、もやしをメインに白菜、タマネギ、キクラゲ等の具材にとろみを加えた餡かけがのっています。

こちらもボリュームがあるので、実際に食べ終わった時の満足感が高い。安価でボリュームがある麺料理として普及した説を考えると、ここのサンマーメンがイメージと近と思います。

玉泉亭がサンマーメンを提供し始めたのは昭和22から23年頃といわれていることからも、街の中華屋さんスタイルで最初にサンマーメンを提供したお店ということになるのかも知れません。

横浜駅地下街にも「玉泉亭（ぎょくせんてい）横浜ポルタ店」

横浜駅東口に直結する地下街「横浜ポルタ」でも玉泉亭のサンマーメンを食べる事ができます。本店がある伊勢佐木町に行かなくてもサンマーメン発祥の味が楽しめるのでオススメ！

横浜ポルタの玉泉亭でも人気ナンバーワンはやはりサンマーメン！サンマーメン（650円）も本店と同じ値段で提供されています。

醤油味の中華そばの上には、もやしをメインに白菜、ニラ、ニンジン、豚肉等の具材にとろみを加えた餡かけがのっています。季節によって変わるのかも知れませんが、前回いただいた本店のサンマーメンとは具材の内容が少々違っていました。

餡の下から麺をすくい出すことで、麺にとろみと素材の旨味が絡まります。発祥の味を横浜駅直結の立地でいただけるオススメのお店です。

横浜中華街で元祖を語る「廣新楼（こうしんろう）」

「聘珍楼」「玉泉亭」の２つの代表的なお店の他に、横浜中華街で「廣新楼（こうしんろう）」という元祖を語るお店を見つけました。
使用する野菜のほとんどが地元で採れた横浜野菜、もやしは丹沢もやしを使用するなど素材にこだわったサンマーメンをいただけます。

サンマーメン発祥の調査まとめ

サンマーメン発祥の調査の結果、横浜開港資料館に史料が残っていることからも「もやし入り餡かけ麺」をサンマーメンというメニューとして提供したのは、「聘珍楼」で間違いなさそうです。

サンマーメンがまかない料理だった説、横浜港で働く労働者に人気だった説、戦後に安価でボリュームのある料理として広く普及した説をまとめると、「玉泉亭」のサンマーメンのような庶民的な料理として普及した事がイメージできます。街の中華屋さんスタイルで提供したサンマーメンとしての発祥は「玉泉亭」となるのかも知れません。

神奈川のご当地ラーメンとして定着してきた「サンマーメン」を代表する２つの発祥店。
聘珍楼のサンマーメンは発祥の味、玉泉亭のサンマーメンは現行スタイルの老舗店の味として食べ比べると面白いと思います。

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