
館山で地魚寿司「巴寿司」!伝統の房州鮨とブダイ赤づけ寿司を味わう
2025/06/02
館山に行ったら地魚は外せない。
地元で水揚げされた旬のネタを味わえるお寿司屋さんは旅の大きな楽しみのひとつ。今回訪れたのは、館山市にある人気の寿司店「巴寿司(ともえずし)」さん。
ここでは、布良港で水揚げされた新鮮な地魚を使った「地魚寿し」や、館山で昔から愛される「ぶだい赤づけ寿し」など、地元ならではの味を楽しむことができる。どちらも、ネタもシャリも大ぶりな房州地方の郷土寿司「房州鮨」ならではの豪快さが魅力だ。
今回は、実際に足を運んで、地元ならではの味を楽しんできたので、たっぷりご紹介したいと思う。館山で海鮮や地元グルメを探している方は、ぜひ参考にしてみてほしい。

開店時間の11時を少し過ぎた頃にお店に到着すると、すでに店内は満席。伺ったところ、予約も入っていたようで、今からだと13時半頃なら案内できるとのこと。せっかくなので、それまで時間をつぶして再訪することにした。

時間調整がてら、車で少し足を伸ばして、房総半島の最南端にある野島埼灯台を観光。海を見渡す絶景と、風に吹かれながらの散策は、良い気分転換になった。
13時半ちょうどを目指して再び「巴寿司」へ戻ってくると、駐車場に停まっていた車の数も少なくなり、落ち着いた雰囲気に。タイミングよく席に案内してもらえた。
館山「巴寿司」のメニュー

今回は、地魚寿司をお目当てに「巴寿司」さんを訪問したので、絶対に地魚寿しが食べたい。メニューには、布良港で水揚げされた地魚5品×2という内容で「地魚寿し」が用意されている。
さらに目を引いたのが、「さざえのつぼ焼」「さんが焼」と地魚寿しがセットになった「おまかせコース3品」。地元らしい料理も一緒に味わえる内容だったので、迷わずこちらを注文することにした。

また、館山で昔から親しまれているという「ぶだい赤づけ寿し」も追加で注文。地魚寿しとはまた違った、郷土色の強い一品なので、こちらもぜひ味わっておきたいところ。
ちなみに、まぐろ、ほたて、いくらなどおなじみのネタを食べたい人には「中寿し」や「上寿し」といった定番メニューも用意されているほか、丼メニューでも地魚が味わえる。

握りや丼だけでなく、地物を使った一品料理や煮魚、焼魚、汁物などのメニューも充実していた。地元密着型のお寿司屋さんといった印象だ。

この日の「本日の地魚」として掲示されていたのは、ブリ、スズキ、イシダイ、メジナ、クロダイ、イサキ、サワラ、カツオ、マダイといったラインナップ。この中から、5種が「地魚寿し」として提供されるようで、どのネタが出てくるかはその日のお楽しみ。まさに"房総地魚ガチャ"という感覚でワクワクする。
- ▼館山「巴寿司」の主なメニュー
- ・中寿し:2,035円
- ・上寿し:2,750円
- ・おまかせ寿し:2,950円
- ・地魚寿し:1,980円
- ・おまかせ満足コース:4,180円
- ・おまかせコース3品:3,080円
- ・ぶだい赤づけ寿し:1,870円
- ・あじなめろう丼:2,640円
- ・地魚づけ丼:2,200円
巴寿司「地魚寿し」

オーダーを済ませると、まずは突き出しとして「マグロの内臓の煮付け」が運ばれてきた。
小鉢ながらも旨味がギュッと詰まっていて、口に入れた瞬間にお酒が欲しくなる味。ビールや日本酒が好きな人なら、これだけで一杯やりたくなるに違いない。

続いて、「おまかせコース3品」の中から「さざえのつぼ焼」と「さんが焼」が登場。
どちらも房総らしさが感じられる一品で、寿司が来る前にひと足先に地の味を堪能できる。香ばしい香りがふわりと漂い、食欲がさらに刺激される。

そして、満を持して「地魚寿し」がテーブルに並ぶ。素朴な色合いのネタからは、地魚ならではの力強さが感じられる。まさに房総の海の恵みが詰まった一皿だ。

お寿司には、内容に合わせて手書きのメモが添えられている。今回のネタは、左上から順に「メジナ」「スズキ」「イサキ」「ブリ」「カツオ」。
店員さんが丁寧に説明してくれるが、食べ始めるとつい忘れてしまうので、こういった心配りはありがたい。

まずは「メジナ」からいただく。
一見すると真鯛のような上品な見た目だが、口にするとしっかりとした弾力があり、食べ応えがある。淡白ながらも旨味が舌に残り、じんわりと魚の良さが広がっていく。

続いて「スズキ」の握り。
厚みのある切り身なのにとてもやわらかく、クセもほとんど感じない。淡白な中にもほんのりとした独特の風味があるところがスズキらしい。

「イサキ」は、皮目を軽く炙った一品。
ネタが分厚く、身がキュッと締まっていて歯ごたえがしっかりしている。噛むほどに磯の風味が広がる。

そして「ブリ」のお寿司。
分厚いネタはプリプリとしていて、鮮度の良さが一口で伝わってくる。シンプルながらもしっかりと美味しい、王道の一貫。

最後は「カツオ」。
春の時期ということで、脂の少ない"初ガツオ"ならではの味わい。こちらも厚切りで提供されていて、しっとりとした赤身の旨味をじっくり味わえた。カツオ特有の風味もほどよく、若いカツオを清々しい後味で締めくくることができた。
巴寿司「中寿し」

こちらは連れが注文した「中寿し」。
内容は、本マグロの赤身、海老、地魚、ホタテ、玉子、穴子、イクラ、そして鉄火巻という、王道のネタが揃った充実のラインナップ。
赤身の美しいマグロにぷりっとした海老、輝くイクラが並ぶことで、全体の彩りが一気に華やかになり、見た目の満足感も高い。ネタもシャリも大ぶりな房州地方伝統の「房州鮨」をしっかりと楽しむことができる一皿になっている。
「地魚寿し」と比べると全国的に馴染みのあるネタが多く、地魚にこだわりすぎず、バラエティ豊かなお寿司を楽しみたい方に良い選択肢だと言える。
巴寿司「ぶだい赤づけ寿し」

館山で昔から親しまれているという郷土寿司「ぶだい赤づけ寿し」もぜひ味わっておきたく追加で注文。本来は8カンのセットで提供されているが、この日はすでに売り切れ間近ということで、特別に単品で4カンだけ握っていただけることに。

実際に口に運んでみると、これまで味わったことのない独特な食感に驚かされる。コリコリとした歯ごたえが心地よく、ネタ自体はあっさりとした味わいながら、口の中にほんのりと余韻が残る。クセはほとんどないが、しっかりと個性を感じられる味わいで、これまで食べてきたどのお寿司とも違う印象を受けた。
同席したメンバーの間でも評価はさまざまで、「これが一番美味しかった!」という声もあれば、「ちょっと不思議な食感だった」と感じた人も。好みは分かれるかもしれないが、館山でしか味わえない、まさにご当地ならではの寿司体験といえるだろう。旅の思い出に、ひと味違う一貫としてぜひおすすめしたい。
館山「巴寿司」店舗情報

館山を訪れたなら、やはり味わっておきたいのは「地魚」。「巴寿司」さんでは、布良港で水揚げされた新鮮な地魚をふんだんに使った「地魚寿し」をはじめ、房総の海と風土を感じられる一品料理を楽しむことができた。
大ぶりのネタとシャリが特徴の「房州鮨」で提供されるのも、郷土寿司として受け継がれてきた「ぶだい赤づけ寿し」がいただけるのも、ほかではなかなか味わえない貴重な体験だった。観光の合間に、館山の味をしっかり感じられる「巴寿司」さんで、ぜひ地魚寿司を味わってみてほしい。