調布「大正寺」！吸い寄せられて入った竜宮門の中は静寂の癒やし空間

2025/12/26

晩秋の青空の下、散歩がてら調布の「布多天神社」を訪れた。その帰り道、駅へと向かう途中で、ある立派な門がふと目に留まった。
色付いた木々の赤や黄色と静かに調和する「大正寺」の白い竜宮門だ。

その佇まいに吸い寄せられるように門をくぐり、境内へ足を踏み入れると、そこには木漏れ日が降り注ぐ、静寂の癒やし空間が広がっていた。詳しい由緒は分からずとも、ただその場に身を置くだけで心が洗われる。そんな思いがけず出会った秋の風景を、撮りためた写真とともに紹介しよう。

吸い寄せられた「竜宮城」のような山門

布多天神社からの帰り道、ふと目に留まったのがこの白い門だ。「竜宮門」と呼ばれるそうだが、その名の通り、物語に出てくる竜宮城のような佇まいである。鮮やかな白壁が、晩秋の青空と紅葉によく映える。その美しいコントラストに誘われるように、自然と足が向いた。

手水鉢の中央には、小さな仏像が立っている。右手を天に、左手を地に指した「誕生釈迦仏」だ。ひっそりと、しかし凛とした姿で参拝者を迎えてくれる。

反対側には石碑やお地蔵様が並ぶ中、「十難掃出地蔵」という名に目が止まる。ここで手を合わせれば、日頃の厄介事をササッと掃き出してくれるのだろうか。

ふと見上げると、楼門の高い位置に「常行院」の文字が掲げられていた。ただ通り過ぎるだけでは気づかない、細部へのこだわりや迫力は、立ち止まって見上げることで初めて感じられるものだ。

門の中は仁王と四天王が見守る別世界

一歩中へ足を踏み入れると、ふと空気の色が変わった気がした。左右に鎮座するのは鮮やかな朱色の仁王像だ。

仁王像は、邪悪なものがここから先へ入らぬよう睨みを利かせている。だが、不思議と怖さはない。むしろ、強力な力で守られているという安心感がある。

さらに奥には四天王の姿も。一つの門の中にこれだけの守護神が揃っているのは、なかなか珍しいのではないだろうか。

まるで結界を越えるようだ。門をくぐり終えると、いよいよ外の喧騒が届かない「別世界」に入った。

木漏れ日の参道を抜けて

門を抜けると、本堂へと続く真っ直ぐな石畳。頭上の木々から降り注ぐ木漏れ日が心地よく、ただ歩いているだけで心が洗われるような感覚だ。

参道を抜けた正面に本堂がどっしりと構える。静寂の中で向き合う本堂は、ただそこにあるだけで威厳がある。

本堂の脇には、寺務所へと続く石畳。きれいに手入れされた植木からも、このお寺が大切に守られていることが伝わってくる。

庭園散策！水辺と神様たち

境内を散策していると、お地蔵様達に出会った。立て札には「六地蔵」とあるが、どう見ても数が多いのは気のせいだろうか。

奥へ進むと、視界が開けた場所に出た。先客の家族連れが、楽しそうに版木（はんぎ）を叩いている。

池のほとりに祀られた恵比寿神。調布七福神のひとつに数えられるらしい。

池に架かる小さな太鼓橋。色づく木々と静かな「和」の風景が心地よい。

正面には銅製の灯篭。ふと立ち止まってカメラを向ければ、どこを切り取っても絵になる空間だ。

その灯篭の奥、木々の奥に静かに佇むのが観音堂だ。

ほかにも大師堂など、境内にはいくつものお堂が点在している。一つひとつ手を合わせながらゆっくりと巡るのも、この大正寺ならではの楽しみ方である。

巨大な足跡に涅槃像

山門の左手には、「墓参道」が伸びている。石畳が辺りの静けさを際立たせている。

参道脇の手水舎の水は枯れていた。今はもう使われていないのだろうか。そのひっそりとした佇まいもまた、晩秋の景色に馴染んでいる。

参道の奥で、不思議な足型の石碑を見つけた。お釈迦様の足型だ。

そして、その近くには横になって涅槃（ねはん）に入られたお釈迦様の像も発見。その安らかな寝顔？を見ていると、「まあ、焦らずいきなさい」と優しく諭されているような、穏やかな気分になった。

吸い寄せられて入った調布「大正寺」まとめ

帰り際、もう一度振り返って山門を眺めた。
ふらっと立ち寄った「大正寺」だったが、思いがけず濃密な時間を過ごすことができた。美しい門に惹かれ、木漏れ日の参道に癒やされ、境内の様々な神様や仏様に挨拶をする。

専門的な知識などなくても、ただ「きれいだな」「気持ちいいな」と感じるだけで、お寺巡りは十分に楽しい。調布に来た際は、ぜひこの静寂の空間に足を運んでみてほしい。

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